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アジマカズキ「みちくさ音楽」
¥2,000
名古屋を拠点に弾き語り・バンド・DJで音楽活動を展開するアジマカズキが、2022年にリリースした1stソロ・アルバム。 *本作を、動画と共に1曲ずつ詳細にレビューした記事はこちら。 https://coffeemind.base.shop/blog/2023/12/22/022342 彼が敬愛するあらゆる世代や国の音楽がソースとなっているソングライティングと、手塚治虫などの漫画や日本文学が反映されたやや抽象的で感情豊かな詩の世界は、幅広い世代の音楽好きを刺激する。 ドリーミーな雰囲気の「僕の万年床」に始まり、フォーキーでノスタルジックな「西の恋人」「モトドオリ」「罪とペンシル」「さよならプリンス」「がぁでぃあん」「旅立ち前の歌」、ニューウェーブで刺戟的なサウンドの「化け化け」「AKATSUKI COMPLEX GIRL」、ジャグバンドやブルーグラスを思わせる賑やかなアコースティック・ロック「夜を煮る」「天の川が溢れた夜に」、そして映画のエンドロールを思わせるモノクロームな音像の「きくとり」 ときにユーモアに満ち、ときに叙情的で、ときに底抜けの楽しさを感じさせる、あらゆる表情を持つバラエティ豊かな楽曲の一つ一つに、様々なポップ・カルチャーを愛する彼の高度な咀嚼力を感じさせる。 地元の愛知を中心とした、主に東海地区で活動する親交の深いミュージシャンをゲストに迎えたサウンド・メイキングにも、手作りながらもこだわりに満ちた質の高さを感じさせ、かつて無名だったころのはっぴいえんどやはちみつぱいのメンバーが関わった70年代のURCやベルウッドの名盤を思い起こす。 朗らかなキャラクターで、地元の多くのミュージシャンや音楽好きに慕われているアジマカズキ。 その愛知のローカルヒーローが作り上げた渾身の1枚は、懐かしい旧友と久しぶりに会うような切ない感情を呼び起こす、ノスタルジックな空気が詰まった極上のポップ・アルバムだ。 1. 僕の万年床 2. 西の恋人 3. モトドオリ 4. 化け化け 5. AKATSUKI COMPLEX GIRL 6. 罪とペンシル 7. さよならプリンス 8. がぁでぃあん 9. 夜を煮る 10.旅立ち前の歌 11.天の川が溢れた夜に 12.きくとり 13.ワクワクチクサク (BONUS TRACK)
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すぱっつ「すぱっつ」
¥1,000
名古屋を拠点に弾き語りやDJで音楽活動を展開するアジマカズキ率いる「おかしく切なく熱いが脱力系バンド」すぱっつ。 元々はスピッツのコピーバンドから始まった彼ら。 それを思わせるトボけたポップ感と飄々とした歌詞が、どこかヘンテコな雰囲気ながらも心地よい余韻を残す。 ジャングリーなアコギとハーモニカの疾走感が気持ちいい「朝」に始まり、マンドリンの響きが哀愁を誘う「がぁでぃあん」、サビのコーラスが"たま"を思わせるストレンジポップ「あの子がやってくる」、ビート感が冴えるアコースティック・ロック「テンヤワンヤ」などなど、楽曲の一つ一つのスタイルは違えど、そのどれもが非常にポップでありつつもほんのり毒気を孕んでいるあたりは、初期のRCサクセションやホフディランを彷彿させる。 ノスタルジックでほんわかとした空気が詰まった、極上のフォークポップ・アルバム。 1. 朝 2. 眠れない夜の唄 3. がぁでぃあん 4. あの子がやってくる 5. テンヤワンヤ 6. きくとり 7. がんばり屋のケンちゃん
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外村伸二「Stories」
¥2,500
三重県・伊勢市で喫茶店を経営しながら音楽活動を続けるシンガーソングライター・外村伸二が、2011年にリリースしたアルバム。 キャリアを重ねたミュージシャンでなければ決して滲み出ることのない深いブルース・フィーリングと、アコースティックギターやスライドギターやハーモニカによる米国テイストたっぷりな極上のサウンド。 それらが織りなす味わい深い音は、彼より少し歳上の真島昌利や花田裕之のソロ作品にも通じる。 恋愛をコーヒーになぞらえた粋な代表曲「こい・コーヒー」は、コーヒーを題材にしたノベルティソングとして高田渡の名曲「コーヒーブルース」にも匹敵する。 本品は2枚組となっていて、ボーナスディスクにはボブ・ディランやブルース・スプリングスティーンの日本語カバーなどをたっぷりと収録されていて、こちらも最高。 トム・ウェイツのようなしゃがれ声と、ロニー・レインやジェリー・ジェフ・ウォーカーを思わせるカントリーテイスト溢れる音作りで、聴けば聴くほど味が出る。 熱く濃いコーヒーと共にどうぞ。 - 帯コメント - 外村君の歌には短編小説を読むような味わいがあります。 その主人公になりきるのではなく、今の自分の暮らしの中から歌おうとしていて、少し離れたところから見ているのがいいと思います。 何よりも人生のうちで一番短い少年という時期を、永遠という瞬間に置き換えて歌えたところがすてきだなと思いました。 友部正人 Disc 1 1. 夢見た旅 2. こい・コーヒー 3. 風 4. 静けさ 5. 夕ぐれ 6. 2本のレール 7. 川 8. パット・ギャレットのバラード 9. Oh!Baby 10. あの街の街灯り 11. 入道雲 12. コーヒー一杯飲むあいだ Disc 2 1. Coffee Blues 2. Dirty Old Town 3. San Diego Serenade 4. Racing in the Street 5. To Live Is To Fly 6. Don’t Think Twice It’s All Right~君のせいだよ 7. Water Is Wide 8. Out On The Western Plain ~ カウボーイだった頃 9. Candyman ~ ちり紙のブルース
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れいじーぴっかーず「あーゆーれいじぃ?」
¥1,000
京都を拠点に活動する、ギター、バンジョー、ドブロからなるカントリーボーイ3人組・れいじーぴっかーずが、2018年にリリースしたミニアルバム。 編成はブルーグラスながらも、ブルース、フォーク、カントリー、60's&70'sロックなど、雑多なアメリカン・ルーツ・ミュージックをバランス良く取り入れた、日本語詞のオリジナル・ナンバーを卓越したテクニックで演奏する彼ら。 モータウンビートなベースラインから始まる楽しい「Lazy Picker's Song」や、満天の夜空の情景が浮かび上がるような切ないミディアム・バラード「不思議な星」など、バラエティ豊かな全5曲。 日常生活やドライブのお供に,、ぜひどうぞ。 1. Lazy Picker's Song 2. ポストマンとハイヒール 3. 不思議な星 4. 猫の街 5. 季節の風
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フライダーズ「Fryders」
¥2,420
ロジャー・マッギンの如く12弦ギターをかき鳴らす佐藤ユウキ率いるルーツロック・バンド、フライダーズが2019年にリリースした1stアルバム。 もの悲しくも凛とした詞とメロディーラインを彩る、優しいアコースティック・ギターの音色や焼け付くようなエレキギターの響きは、さながらニール・ヤングの70年代の名盤のような趣き。 往年のアメリカン・ロックが好きな人のみならず、サニーデイ・サービスやグレイプバインなど、90年代邦楽ロックのリスナーにも、強烈にオススメしたい一枚。 ゲストにムーンライダーズの武川雅寛が参加。 *バンドのオリジナル缶バッジ付き。 1. 小梅 2.多摩堤通り 3.東から西へ 4.ぼくはきみへ 5.線路沿い 6.帰り路 7.9月の朝 8.最高の夜 9.おやすみアイリーン(Goodnight Irene)
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フライダーズ「LONG TIME AGO」
¥2,640
ロジャー・マッギンの如く12弦ギターをかき鳴らす佐藤ユウキ率いるルーツロック・バンド、フライダーズが2022年にリリースした2ndアルバム。 アメリカン・ルーツ・ロックを根幹とした豊潤で端正なサウンドと、四季折々の情景に心象風景を重ね合わせた詩世界で、丁寧に紡がれた歌の数々は、いずれも和の情緒に満ちていて正しくはっぴいえんどやサニーデイ・サービスにも通じる「日本のロック」そのもの。 ムーンライダーズの夏秋文尚のプロデュースの元、リリカルで優しいアコースティック・ギターの音色と焦燥感溢れる焼け付くようなエレキギターの響きが交錯する演奏スタイルは、ニール・ヤングを思わせる。 朴訥として素朴なヴォーカルも、心の奥底まで沁みるようで味わい深い。 ムーンライダーズの武川雅寛や、70年代より様々なセッションで活躍するペダルスチールギターの名手・駒沢裕城の客演も光る、前作よりグッと深化したいぶし銀の1枚。 1. 春になれば 2. Tell Me Why 3. Long Time Ago 4. やさしい雨 5. グレイス 6. 麦わら帽子 7. おやすみユーリ 8. 境界線上 9. 線香花火 10.ジメジメジトジト
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いーはとーゔ「Slow Living」
¥1,000
愛するルーツ音楽を昇華させた "ジャパリカンルーツポップス" を追求する5人組・いーはとーゔが2018年にリリースしたミニアルバム。 ザ・バンド、バーズ、C.C.Rなどのアメリカン・ルーツ・ロックへの憧憬が溢れる日本語オリジナルの全6曲はいずれも完成度が非常に高く、それらの影響を上手く消化してジャパニーズポップスとして成り立たせている手腕は実に見事。 ブギウギピアノが冴え渡る軽快でリズミカルなナンバーから、月夜の荒野が目に浮かぶようなスローなカントリー・バラードまで、音楽好きを唸らせるバラエティ豊かな6曲だが、眉唾はやはりミーターズやネヴィル・ブラザーズなどに代表されるセカンドライン・ファンクを大胆に取り入れた「Secound Life」だろう。 往年のアメリカン・ロックを愛する世代のみならず、あらゆる世代の音楽好きに聴いてほしい、近年屈指の名盤。 1. 香港紀行 2. 6月の旅人 3. レニー 4. Second Life 5. Good morning girl 6. 夜明けの口笛吹き
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bjons「SILLY POPS」
¥2,200
近年ではアイドルグループへの楽曲提供も行うソングライター・今泉雄貴を中心に結成され、東京を拠点に活動する bjons が2018年にリリースしたアルバム。 洗練と朴訥さの両面を持つ練り上げられたソングライティングと、豊潤なバンドサウンドが織り成す日本語ポップスは、シティポップ前夜である70年代中期に活躍したシュガー・ベイブやブレッド&バターといったバンドを連想させる。 カントリーやR&Bなどの米国音楽の要素を上手く取り入れ、グッド・タイム・ミュージックやライトメロウ・ポップスなどバラエティ豊かなサウンドを聴かせる手腕は、セクションやティン・パン・アレーなどの音楽集団をも思わせる。 昨今のシティポップ・ブームを揶揄したかのようなアルバム・タイトルに見られる独特のセンスも小気味よい。 晴れ渡る秋空のような、カラッとした清々しいポップスが堪能できる1枚。 日常生活やお出かけのBGMにぜひ。 1.けもの 2.lonestar 3.I Don't Care 4.ダーティーボーイ 5.ハンバーガー 6.ストレンジャー 7.いらっしゃいませこんばんは 8.そろりっそわ
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bjons「CIRCLES」
¥2,420
近年ではアイドルグループへの楽曲提供も行うソングライター・今泉雄貴を中心に結成され、東京を拠点に活動する bjons が2018年にリリースしたアルバム。 洗練と朴訥さの両面を持つ練り上げられたソングライティングと、豊潤なバンドサウンドが織り成す日本語ポップスは、シティポップ前夜である70年代中期に活躍したシュガー・ベイブやブレッド&バターといったバンドを連想させる。 前作にみられたアメリカン・ルーツ・ロックからの影響を感じさせる長閑さは若干後退し、都会的で洗練されたAOR風味のスタイリッシュなサウンドとなった今作。 奥田民生を彷彿させる気怠く色気のある今泉雄貴の歌声との相性も抜群で、さながらビル・ウィザースやアル・グリーンのような70年代シティソウルのような心地よさ。 このアルバムのリリース直後にバンドが解散してしまったことが悔やまれる、円熟味溢れる味わい深いアルバムだ。 秋から冬にかけての都会のBGMに最適な、アダルティで落ち着いた1枚。 1.皮肉屋 2.デジャヴ 3.抱きしめられたい 4.かっこわらい 5.ハードレイン 6.スロウリー 7.頼りない魂 8.鈍行アウェイ 9.フォロー・ユー
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甲斐ヒロシ (かいとかいだ。)「流れ星 - Shooting Star -」
¥2,000
愛知を拠点に活動するシンガーソングライターのカイヒロシと、アコーディオン奏者のかいだむつみによるアコースティック・デュオ「かいとかいだ。」 甲斐ヒロシのソロ名義となっているが、実質的には「かいとかいだ。」として、ドラマーを迎えてレコーディングされた2020年リリースのアルバム。 吉田拓郎や河島英五など昭和のフォークシンガーを思わせる、カイヒロシの無骨な歌い回しとソングライティングを、かいだむつみによるノスタルジックなアコーディオンの響きが絶妙に和らげる。 冷たい風が吹きすさぶ夜に響くような「孤高の月」「流れ星」などの無頼さもいいが、暖かい雰囲気の「箱庭」や、リリカルな味わいの「ひとりごと」「声」も心に染みる名曲。 70年代の吉田拓郎や泉谷しげるのような雰囲気が好きな人はもちろん、フラカンやエレカシが好きな人にもおすすめしたい1枚。 1. 孤高の月 2. 箱庭 3. かぱん 4. ひとりごと 5. ミューズの伝言 6. バカボンド 7. 流れ星 - Shooting Star - 8. 声
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GOFISH「光の速さで佇んで」
¥2,640
日本屈指のハードコア・バンド、NICE VIEWのボーカル&ギターで知られるテライショウタのアコースティックを基盤にしたソロ・プロジェクト、GOFISHが2021年にリリースしたアルバム。 アコースティック・ギター、コントラバス、チェロが織りなす弦楽三重奏だった前作から変わり、一部の楽曲にバンドサウンドを取り入れた本作。 基本的には端正で落ち着いた雰囲気ながらも、シュールさが際立つ歌詞と浮世離れした歌声が心地よい緊張感を与えてくれて飽きさせない。 ニール・ヤングを思わせるボトムの重いミディアム・ロック「メメント」、ペダルスティールの響きがレイドバックした雰囲気を醸し出す「ダンスを君が」、側転したりバク転したりする歌詞がユーモラスな「クレーター」、なんとなくデビッド・ボウイを連想させる「ロックスター」、夕暮れ時を連想するサウンドが暖かく心地よい「さよならを追いかけて」など、前作同様に唯一無二な全11曲。 個人的には、ポップで落ち着いた雰囲気の中にも、どこか張り詰めた緊張感のある作風は、はっぴいえんどの『風街ろまん』をも彷彿させる。 聴けば聴くほど深みの増す傑作。 1. メメント 2. ダンスを君が 3. インディアン・サマー 4. クレーター 5. ロックスター 6. さよならを追いかけて 7. きっといつか 8. ペルソナ 9. 外は雪だよ 10. ライブアルバム 11. そのとき
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吉上恭太「ある日の続き」
¥2,530
海外の絵本・児童書の翻訳やライター業を生業とし、50歳を超えて歌い始めたフォークシンガーが、還暦を過ぎた2017年にリリースしたアルバム。 ジェームズ・テイラーのような朴訥とした静かで優しげな雰囲気の中にも、どこか醒めたようなクールな響きが耳に心地よい歌声。 その歌の世界を支えるのは、東京のインディーズ・シーンで大活躍する鍵盤奏者・谷口雄によるプロデュース。 彼を始め、北山ゆう子、増村和彦、渡瀬賢吾、松村拓海ら、卓越したミュージシャンによる豊潤なサウンドは、さながら The Section によるジェームズ・テイラーの作品や、キャラメル・ママによる小坂忠や細野晴臣のソロ作を思わせる。 JTの『Fire And Rain』のような柔らかな音色のアコースティックギターから始まる「僕が生きるに必要なもの」、ラフな雰囲気のブルース・ロック「かもつせん」、性急なカントリー・ブルース「ホーボーだって深海魚の夢をみる」、ボサノバ・タッチの「one day ~或ル日ノ続キ」などなど、バラエティ豊かなサウンドに、吉上氏の張りがあって伸びやかながらもどこか枯れた味わいもある歌声が乗った、多幸感あふれる全10曲。 日常の風景を描きつつもどこか不思議な世界を垣間見せてくれる特徴的な歌詞は、全曲とも鶯じろ吉が担当。 吉上氏と同年代の鶯氏も50代を超えて作詞活動を始めたらしく、ひょんなきっかけでソングライティング・チームを組んだという。 世代的には佐野元春や竹内まりやと同年代の吉上氏。 前述の通り遅咲きなデビューながらも、ベテラン・ミュージシャンのような重厚感を感じさせるのは、彼自身の人生の歩みがそのまま歌に表れているからだろう。 70年代のジェームズ・テイラーの作品や、小坂忠「ありがとう」細野晴臣「Hosono House」が好きな人はもちろん、エリック・アンダーソン, ゴードン・ライトフット, アーロ・ガスリー, ガイ・クラークなど、カントリータッチな70年代SSW作品が好きな人にも、自信を持ってオススメしたい1枚。 - 帯コメント - ハロー・ニュー・オールド・フレンド! 吉上恭太さんの音楽に出会えて良かった。 LIFE IS GOOD 長門芳郎 (パイドパイパーハウス) 1. 僕が生きるに必要なもの 2. かもつせん 3. 犬の瞳が月より冴えたら 4. ホーボーだって深海魚の夢を見る 5. ieji 6. One Day 〜或ル日ノ続キ 7. ほしどろぼう 8. 十一月の寓話 9. ごはんの湯気で泣くかもしれない 10. 涙
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Sniff「LIVE in open house」
¥1,500
名古屋を拠点に活動するバンド・Sniff が、メンバーチェンジ前の2020年12月26日に今池 open house にて行ったライブを全曲収録したアルバム。 70年代ウエストコースト・ロックの乾いた音とアメリカ南部のファンキーで重厚な音をたっぷりと含んだヴィンテージなバンドサウンドは、さながらオールマン・ブラザーズ・バンドかリトル・フィートか。 セカンドライン・ファンクなリズムでお酒と煙草を讃える「アルコールアンドシガレットベイベー」や、静かな夏の風景を歌うミディアム・ナンバー「Because Summertime」、後半のむせび泣くギターソロが深い余韻を残すソウル・バラード「ムーンライト」など、サウンドは本格的なルーツ指向ながらも日本語詞での「うた」を追求する姿勢も頼もしい。 ボビー・ウーマックやカーペンターズなどの名曲カバーも、さすがの一言。 抜群のテクニックと鉄壁のグルーヴ感で、堂々とした演奏をたっぷりと聞かせてくれる54分。 前述の通り、70年代の南部指向のアメリカン・ロックが好きな人にはもちろん、デレク・トラックス・バンドやジョン・バトラー・トリオ、PHISH やストリング・チーズ・インシデントなど、近年のブルースロック・バンドやジャムバンドが好きな人にも自信を持ってオススメしたい、聴き応えたっぷりな1枚。 1. Drunken master 2. 70's 3. Because Summertime 4. Woman's Gotta Have it (Bobby Womack cover) 5. Close To You (The Carpenters cover) 6. SOUTH WIND 7. アルコールアンドシガレットベイベー 8. 明日になればきっと 9. 108 10. ムーンライト 11. Hottentot (John Scofield cover)
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Sniff「Let it go home」
¥2,500
名古屋を拠点に活動するバンド・Sniff が、2022年にリリースしたフルアルバム。 70年代ウエストコースト・ロックの乾いた音とアメリカ南部のファンキーで重厚な音をたっぷりと含んだヴィンテージなバンドサウンドは、さながらオールマン・ブラザーズ・バンドかデレク・トラックス・バンドか。 リトル・フィートのようなファンキーロック「Lilly」に始まり、ブラジル音楽の軽妙なスタイルで聴かせる「雨風」、タメの効いたヘヴィなブルースロック「個人的な事さ」、お得意のスライドギターがうねりを上げる「PULSE」、ゲストの鍵盤奏者・渡辺翔太によるスウィンギーなピアノをフィーチャーしたセカンドライン・ファンクな代表曲「アルコールアンドシガレットベイベー」、ニール・ヤングを思わせる荘厳なロック「SOUTH WIND」、郷愁感溢れる素朴な「まちぼうけ」など、聴くほどに味が出る9曲。 サウンドのアプローチやヴォーカルの声質などは、関西の名ルーツロックバンド・ラリーパパ&カーネギーママを彷彿させる。 前述の通り、70年代の南部指向のアメリカン・ロックが好きな人にはもちろん、ジョン・バトラー・トリオやPHISH など近年のブルースロック・バンドやジャムバンドが好きな人や、日本ならラブ・サイケデリコや GLIM SPANKY などアメリカン・ロックをベースとしたバンドが好きな人に自信を持ってオススメしたい、聴き応えたっぷりな1枚。 1. Lilly (feat. 渡辺翔太) 2. 108 3. 雨風 4. 個人的な事さ 5. PULSE 6. アルコールアンドシガレットベイベー (feat. 渡辺翔太) 7. SOUTH WIND 8. まちぼうけ 9. Let it go home (feat. 渡辺翔太)
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ボーイスカウトブラザーズバンド「日常の特集」
¥2,200
名古屋を拠点に活動するグループ・ボーイスカウトブラザーズバンドが2021年にリリースしたアルバム。 70年代ロックのフレーバーをたっぷりと含んだ温もりのあるサウンドと、昭和のホームドラマのようなコミカルな雰囲気で演奏される楽曲の数々は、まさにタイトル通りに日常生活におけるテーマソングになりうるナンバーばかり。 どことなくフィッシュマンズを思わせるタイム感が心地よい「あの日の歌」、森見登美彦の小説のような文学的言い回しとズッコケ感満載な音がユニークな「姉さん女房」、荒井由実時代の初期ユーミンの私小説的な儚い空気感を思わせる「天気雨」、斉藤和義の『歩いて帰ろう』のようなモータウンビートが楽しい「愛すべき二人」、そして皆で合唱するバスキング・スタイルなタイトルナンバー「日常の特集」などなど、粒ぞろいな全11曲。 ゲスト・ミュージシャンである2人の鍵盤奏者・伊藤誠人(Radical Humanism, いとまとあやこ他)とサカイショウイチ(Melting Pot)の客演も光る。 ハッピーズ、フリーボ、ははの気まぐれなど、90年代~2000年代のフォーキーな歌ものポップバンドが好きな人に断然オススメする1枚。 1. ときめきを 2. あの日の歌 3. 姉さん女房 4. 休日 5. 駆け上がる毎日 6. 天気雨 7. それぞれ 8. 趣味 9. 愛すべき二人 10. ろくでなし 11. 日常の特集
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Saboten Neon House「Puan」
¥800
東京を拠点に活動する4人組ポップロック・バンド、Saboten Neon House が2019年にリリースした3曲入りCD。 70年代のフォークロックやルーツミュージックをベースに、現代の生活の中に響くどこか懐かしいニューサウンドを追求する彼ら。 カントリーやフォークロックをベースとしたのどかなサウンドと何気ない歌詞は、日常生活のBGMにジャストフィットする風通しの良さを持っていて、それでいてどこか掴みどころのない雰囲気はフィッシュマンズを思わせる。 タイ語で「友達」を意味するタイトル通りに、異国情緒溢れるノスタルジックな3曲。 never young beach やハッピーズやフリーボなど、フォーキーな歌ものポップバンドが好きな人にオススメな1枚。 1. チャイナタウン 2. ぷあん 3. 銭湯がない
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Saboten Neon House「橙 / 一杯分のコーヒー」
¥1,100
東京を拠点に活動する4人組ポップロック・バンド、Saboten Neon House が2023年にリリースした2曲入りCD。 70年代のフォークロックやルーツミュージックをベースに、現代の生活の中に響くどこか懐かしいニューサウンドを追求する彼ら。 カントリーやフォークロックをベースとしたのどかなサウンドに、何気ない日常の情景描写がピタリとはまる歌の数々は、70年代のエレックやベルウッド・レーベルなどのフォーク・シーンや90年代の「喫茶ロック」など、脈々と受け継がれているジャパニーズポップスの雛形と言える。 夕暮れの街の情景を描いた郷愁感溢れる「橙」と、のんびりとしたワルツ風フォーク・ロック「一杯分のコーヒー」の2曲。 never young beach やハッピーズやフリーボなど、フォーキーな歌ものポップバンドが好きな人にオススメな1枚。 1. 橙 2. 一杯分のコーヒー
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しょうにゅうどう「ほろほろ」
¥2,500
SOLD OUT
カタリカタリ,百景借景などのグループで活躍する河合愼五と、Ett,ズビズバーなどのグループで活躍する西本さゆりの音楽家2人によるアコースティックデュオ・しょうにゅうどうが、2022年にリリースした1stアルバム。 独特のバリトンボイスの河合と天真爛漫な歌声の西本の、男女混成ハーモニーで奏でる全12曲は、いずれもユニークで味わい深い。 全編に渡りゆったりとしたタイム感で演奏される楽曲は、いずれも音数が少なく素朴でありながらもユーモア・寂寥感・無邪気さに溢れていてバラエティ豊か。 ジャケットやタイトルの雰囲気からもうかがえる通り、モノクロの日本映画を連想させるノスタルジックでちょっとシュールな歌世界が広がっている。 珈琲や緑茶とともに、じっくりと味わいたい1枚。 1. 死ぬかと思った 2. 首飾り 3. 春の味 4. 赤い花 青い街 5. サドの娘さん 6. ずれる 7. ロドリゴ 8. 山の日の鍾乳洞 9. しょうにゅうどうのテーマ ~暗闇へおいでよ~ 10.右左 11.君を見ている 12.歌でもうたえば
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The Memphis Bell「The Memphis Bell Blues Band」
¥1,000
豪快にドライブするギターが強烈な本格派ブルースロック・パワートリオ、The Memphis Bell が、2019年にリリースした4曲入りEP。 英国のクリーム、フリー、レッド・ツェッペリン。米国のジョニー・ウィンター、ZZトップ、ブラック・クロウズ。そして日本なら村八分やRCサクセション。 そんなブルースをルーツにした数多のバンドを彷彿させる、ボトムの重いブルージーなロックを鳴らす彼ら。 そういう本格志向のバンドは英語で歌いがちだが、彼らは全て日本語での作詞で、ブルースらしい鬱屈した心象を吐露したリリックを、ときに気だるくときにエモーショナルに歌う。 ズンズン突き進むような豪放なブルース・ロック「こんなはずじゃなかったのに」に始まり、ブルースの定番『Good Morning Little School Girl』のような構成と地を這うドラムロールが耳を惹く「おいでよ」、間奏の弾きまくるギターソロが熱いスローブルース「欲望のままに」、レイ・チャールズのナンバーを彷彿させるミディアム・ソウル「おいてけぼり」の、全4曲。 上記のクラシック・ブルースロックが好きな人はもちろん、GLIM SPANKY などのバンドが好きな人にもオススメの1枚。 1. こんなはずじゃなかったのに 2. おいでよ 3. 欲望のままに 4. おいてけぼり
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The Memphis Bell「Best Of Live Archives」
¥2,400
豪快にドライブするギターが強烈な本格派ブルースロック・パワートリオ、The Memphis Bell が、2021年にリリースしたセレクト・ライブ11曲収録のアルバム。 英国のクリーム、フリー、レッド・ツェッペリン。米国のジョニー・ウィンター、ZZトップ、ブラック・クロウズ。そして日本なら村八分やRCサクセション。 そんなブルースをルーツにした数多のバンドを彷彿させる、ボトムの重いブルージーなロックを鳴らす彼ら。 そういう本格志向のバンドは英語で歌いがちだが、彼らは全て日本語での作詞で、ブルースらしい鬱屈した心象を吐露したリリックを、ときに気だるくときにエモーショナルに歌う。 メンバーの脱退を経て2人組となった彼らが、サポートメンバーを迎えて行った2021年のライブ音源から選んだライブ・アンソロジーである今作。 1stEP「The Memphis Bell Blues Band」の4曲の他、ここで初披露される7曲のオリジナルも、ブルースロックの先人に敬意を払ったような、シンプルながらも独特のコクがある粒ぞろいの楽曲ばかり。 彼らの看板である豪放なギターの他、今作では卓越したブルースハープがたっぷり聴けるのも嬉しい。 伝説のロックバンド・村八分の名盤『ライブ』を彷彿させる、荒削りながらも奥深く聴き応えのある1枚。 *CDのみ収録された、サブスプリクションで聴けないボーナス・トラックあり。 1. こんなはずじゃなかったのに 2. Oh My Baby,どこへ行こう 3. まあいいや 4. よくもわるくも 5. 死にぞこないブルース 6. へべれけさん 7. それから 8. おいでよ 9. 欲望のままに 10.おいてきぼり 11.ほっといてくれ
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中井大介「SOMEWHERE」
¥1,000
京都で始まった音楽レーベル「On The Corner Records」の運営や、様々なバンドやサポートなどの音楽活動を行っているシンガーソングライター、中井大介が2016年にリリースした6曲入りCD。 「京都のアントニオ・カルロス・ジョビン」とも称された彼。 そのハスキーでしなやかな歌声は上質でアダルティな雰囲気をまといながらも同時にさわやかな日常感を感じさせる親しみやすさがあり、様々な音楽の影響を感じさせる奥深いソング・ライティングは、田島貴男や高野寛といったポップ・マエストロなミュージシャンを連想させる。 エブリシング・バット・ザ・ガールを思わせる爽やかなギターサウンドが心地よい「もしも屋」に始まり、しっとりと夏の終わりを歌う「九月三日」、穏やかなアコースティックAORサウンドをバックに旅立ちの時を歌う「船」、軽やかな曲調と流麗なスライドギター・ソロが素晴らしいソウルフルな「今日はこれまで」など、何気ない日常を題材としたラフな作風ながらもどこか上品で軽妙洒脱な歌の数々は、聴けば聴くほどに味が出て飽きさせない。 盟友であり、海外でも評価の高いアコースティック・バンド、パイレーツ・カヌーや、ラリーパパ&カーネギーママの鍵盤奏者・スチョリを迎えたバッキングは、音楽好きを唸らせるツボを抑えた名演で聴き応え充分。 80年代前後のジェームズ・テイラーやランディ・ヴァンウォーマーなどのAORシンガーソングライターや、テリー・キャリアーやセブリン・ブラウンなどに代表されるアコースティック・フリーソウルなどの雰囲気が好きな人に、断然オススメの1枚。 1. もしも屋 2. 九月三日 3. 嘘つき 4. 船 5. スーフルのうた 6. 今日はこれまで
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The Pumpkins「JOURNEY」
¥2,000
SOLD OUT
1997年から京都を拠点にマイペースで活動する4人組フォークロック・バンド、The Pumpkins が2022年にリリースした10曲入りの3rdアルバム。 ザ・バーズやブレッドなど60~70年代のフォークロックやカントリーロックをベースとしたサウンドと、趣のある情景描写に心象をかさねた歌詞はシンプルながらも独特の味わいがあり、長年の間少しずつ積み重ねたキャリアに裏打ちされた奥深さを感じさせる。 「長旅」を意味するアルバムのタイトル通りに、デンマークのボーンホルム島やナポリ、バルセロナやパナマなど、歌で聞く世界紀行といった心地よいアコースティック・サウンドの冒頭4曲に始まり、エレファントカシマシやフラワーカンパニーズを連想させるフォーキーロック「風の帰りみち」、軽快でジャングリーなカントリー・サウンドのプロテスト・ソング「ぼくの自由に何をする」、叙情的で哀しくも美しい歌詞のバラード「サンサファ」など、いずれの楽曲も聴くほどに味が出る逸品。 サニーデイ・サービス、ハンバートハンバート、ハッピーズ、フリーボ、ラリーパパ&カーネギーママなど、90~2000年代のフォーキーな歌ものポップバンドが好きな人には、断然オススメの1枚。 1. ボーンホルム島より 2. ナポリ 3. バルセロナ 4. 渚にて 5. 風の帰りみち 6. 虹色の飛行船 7. ぼくの自由に何をする 8. サンサファ 9. フォークソング (Bonus Track) 10.川のように (Bonus Track)
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夢見る港「やあ、おはよう」
¥2,970
下町の「The Millenium」の異名を持つ東京のポップバンド・夢見る港が2023年にリリースした11曲入りフルアルバム。 メリー・ホプキンの歌唱で有名なフィラモア・リンカーン作のソフトロックの名曲「Temma Harbour」の日本語タイトルをそのままバンド名に冠したことからもわかるように、60~70年代のソフトロックやフォークロックなどのヴィンテージ・ポップサウンドを志向する彼ら。 バンジョー・マンドリンなどの弦楽器やトロンボーン・フルートなどの管楽器が絶妙に配置されたその心地よいサウンドは、コアな音楽ファンのみならず J-POP 好きをも魅了する普遍的な魅力を放つ。 ヴィンテージ・ポップスへの愛を思わせる(60年代英国ポップバンド・サンダークラップニューマンから取ったタイトル然り)、演奏とアレンジのこだわりへの強さは感じるものの「分かる人にだけ分かれば良い」という傲慢さは微塵もなく、輪郭が明快なメロディーや奇をてらわない言葉選びで作られた楽曲はいずれも耳にスッと滑り込んでくる。 その間口の広さには「万人に聴いてもらいたい」という意思を感じさせる。 親しみやすさと上品さを兼ね備えた全体的な雰囲気は、さながら「NHK連続テレビ小説」のようだ。 ミレニアムやサジタリウス、ゾンビーズなどのソフトロック好きはもちろん、90年代のミスチルやマイラバなど60~70年代のサウンドを J-POP に落とし込んだ小林武史のプロデュース作品が好きな人にも強くオススメしたい。 そのグループ名が表す通り、爽やかな潮の香りが漂う風通しの良い1枚。 1. opening 2. サンダークラップニューマン 3. 一滴 4. 香りと全て 5. summer in the rain 6. ロージー 7. 紅いクチバシ 8. 真冬の病 9. loving lalala 10. tears 11. やあ、おはよう