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海外の絵本・児童書の翻訳やライター業を生業とし、50歳を超えて歌い始めたフォークシンガーが、還暦を過ぎた2017年にリリースしたアルバム。
ジェームズ・テイラーのような朴訥とした静かで優しげな雰囲気の中にも、どこか醒めたようなクールな響きが耳に心地よい歌声。
その歌の世界を支えるのは、東京のインディーズ・シーンで大活躍する鍵盤奏者・谷口雄によるプロデュース。
彼を始め、北山ゆう子、増村和彦、渡瀬賢吾、松村拓海ら、卓越したミュージシャンによる豊潤なサウンドは、さながら The Section によるジェームズ・テイラーの作品や、キャラメル・ママによる小坂忠や細野晴臣のソロ作を思わせる。
JTの『Fire And Rain』のような柔らかな音色のアコースティックギターから始まる「僕が生きるに必要なもの」、ラフな雰囲気のブルース・ロック「かもつせん」、性急なカントリー・ブルース「ホーボーだって深海魚の夢をみる」、ボサノバ・タッチの「one day ~或ル日ノ続キ」などなど、バラエティ豊かなサウンドに、吉上氏の張りがあって伸びやかながらもどこか枯れた味わいもある歌声が乗った、多幸感あふれる全10曲。
日常の風景を描きつつもどこか不思議な世界を垣間見せてくれる特徴的な歌詞は、全曲とも鶯じろ吉が担当。
吉上氏と同年代の鶯氏も50代を超えて作詞活動を始めたらしく、ひょんなきっかけでソングライティング・チームを組んだという。
世代的には佐野元春や竹内まりやと同年代の吉上氏。
前述の通り遅咲きなデビューながらも、ベテラン・ミュージシャンのような重厚感を感じさせるのは、彼自身の人生の歩みがそのまま歌に表れているからだろう。
70年代のジェームズ・テイラーの作品や、小坂忠「ありがとう」細野晴臣「Hosono House」が好きな人はもちろん、エリック・アンダーソン, ゴードン・ライトフット, アーロ・ガスリー, ガイ・クラークなど、カントリータッチな70年代SSW作品が好きな人にも、自信を持ってオススメしたい1枚。
- 帯コメント -
ハロー・ニュー・オールド・フレンド!
吉上恭太さんの音楽に出会えて良かった。
LIFE IS GOOD
長門芳郎 (パイドパイパーハウス)
1. 僕が生きるに必要なもの
2. かもつせん
3. 犬の瞳が月より冴えたら
4. ホーボーだって深海魚の夢を見る
5. ieji
6. One Day 〜或ル日ノ続キ
7. ほしどろぼう
8. 十一月の寓話
9. ごはんの湯気で泣くかもしれない
10. 涙
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